生まれた赤ちゃんの最初の行事として広く知られているのが「お七夜(おしちや)」です。
赤ちゃんが生まれてから7日目の夜に行うこの伝統行事は、命名式や健やかな成長を願うお祝いとして、長く受け継がれてきました。
しかし、最近では「お七夜をやらなかった」「やる予定はない」というご家庭も増えてきており、必ずしも全員が行うイベントではなくなってきているようです。
特に、核家族や共働き世帯が増えた今の時代、産後すぐの忙しい時期に行事の準備をするのが難しいという声も多く聞かれます。
「周りがやっているから」
「昔からの習わしだから」
とといった理由から無理をして行うよりも、自分たちの生活スタイルや気持ちに合った過ごし方を選ぶことのほうが、今では自然な考え方とされつつあります。
大切なのは、形式ではなく、赤ちゃんの誕生を祝う気持ちそのものです。
この記事では、あえて「お七夜をしない」ことを選んだご家庭の理由や体験談をもとに、やらなかったときの過ごし方や後悔しないためのコツを丁寧に紹介していきます。
また、「やらなくて大丈夫かな?」「親族に何か言われないかな?」といった不安にも寄り添いながら、安心して選択できるヒントもお届けします。
自分たちらしい方法で、無理せず、そしてあたたかな気持ちで赤ちゃんを迎え入れることができるように。
この記事がそのための一歩になればうれしいです。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
お七夜をやらない家庭が増えている理由とは?
実施率はどれくらい?最近の傾向
かつては地域の習慣としてお七夜をとても大切にしていた時代がありました。
特に祖父母世代や、地方に住むご家庭では、お七夜を盛大に行うことが一般的であり、親族が集まり、ごちそうを用意して祝うようなスタイルが多く見られたようです。
しかし最近では、ライフスタイルの変化や価値観の多様化にともない、
「お七夜はやらなかった」
「特別なことはしなかった」
という声が多くなってきています。
実際、育児サイトや育児雑誌、オンラインアンケートの結果などを見ても、「お七夜をしっかりと行った」という家庭は全体の3割~4割程度にとどまっているのが現状です。
残りの過半数は、
- 「簡単なお祝いだけした」
- 「命名書だけ飾って終わりにした」
- 「名前をつけた日として記念写真を撮るだけにした」
こうした家庭は、あえて行事を省いたというよりも、赤ちゃんとママの体調、家族のスケジュール、生活のリズムなどを考慮したうえでの“自然な選択”をしているのです。
とくに出産直後は、お母さんの身体が回復していないことも多く、赤ちゃんのお世話に慣れていない不安な時期でもあります。
そんな中で、大勢の人を招いたり、特別な準備をしたりするのは負担が大きすぎると感じる人が増えているのでしょう。
また、インターネットやSNSなどで「こういうふうに祝わなきゃいけない」という情報に触れる機会が増えたことで、自分たちの価値観に合った形を選ぶ柔軟さも育ってきています。
形式に縛られすぎず、
- 「わが家らしいやり方で」
- 「気持ちがあれば十分」
やらない理由は?家庭の事情や価値観
お七夜をやらなかった理由は家庭ごとにさまざまですが、共通しているのは「無理をしない」という姿勢です。
大切な育児のスタート時期だからこそ、自分たちの体調や状況を最優先にする選択が増えているのは、今の時代ならではとも言えるかもしれません。
たとえば、出産直後はお母さんの体調がまだ完全に戻っておらず、夜中の授乳や睡眠不足の中で慌ただしい育児に追われていることもあります。
また、すでに上の子がいる家庭では、そのお世話と赤ちゃんのお世話の両立に精一杯で、とてもイベントの準備まで手が回らないというのが正直なところでしょう。
さらに、「命名式は出生届の提出と同時に済ませたから十分」という考え方をしているご夫婦もいますし、そもそもお七夜という行事を初めて知ったという方も少なくありません。
情報に触れるタイミングや家庭のバックグラウンドによっても、その認識には差があるようです。
自分たちの生活スタイルや価値観に合わせて「やらない選択」をしているご家庭が増えているのは、社会全体が多様性を受け入れるようになったことの表れかもしれませんね。
形式にとらわれず、心のこもった過ごし方を大切にするという考えが、これからますます広がっていきそうです。
やらないことに対する周囲の反応
お七夜をしなかったことについて、まわりから何か言われるのでは…と不安になる人もいるかもしれません。
特に初めての育児では、「ちゃんとお祝いをしなかったら、親としてどうなんだろう?」と自分を責めてしまうこともありますよね。
でも、実際に声を聞いてみると、
「うちもやらなかったよ」
「お七夜はやらなかったけど、その後のお宮参りやお食い初めは大切にしたよ」
といった共感の声がたくさんあります。
中には「産後すぐでバタバタしてたし、赤ちゃんとママが元気でいればそれで十分だよ」とあたたかく励ましてくれる人も多いんです。
とくに祖父母世代でも
「昔はやったけど、今は自由でいいよね」
「無理してやることじゃないし、気持ちのほうが大事」
と理解を示してくれる方も少なくありません。
無理に形式を守る必要はないんだなと安心できる一言に、救われたという方も多いようです。
今は家庭ごとのスタイルを大切にする時代。
お七夜をやらなかったことを気に病むよりも、赤ちゃんのことを思って決めた選択に自信を持って、家族なりの過ごし方を見つけていけたら、それがいちばん素敵な答えになるのではないでしょうか。
お七夜をやらなくて後悔することはある?
後悔の声はある?やらなかった人の体験談
中には「少しだけ記念に何か残せばよかったかな」と感じる人もいますが、それは後から振り返って思うことであり、「やらなかったからといって後悔ばかり」というわけではありません。
- 「やらなかったけれど、命名書の写真を撮って残しておいたから満足している」
- 「お七夜よりもお食い初めや初節句を大切にしたいと思ったから」
「こうあるべき」という考えに縛られず、自分たちに合った祝い方を見つけられるといいですね。
しなかったことへの罪悪感を感じるとき
SNSなどで「豪華なお七夜をした!」という投稿を見ると、「うちはやらなかったけどよかったのかな…」と不安になることもありますよね。
特に初めての育児では、周囲の投稿や経験談を見て「自分だけ何もしていない気がする」と焦ってしまう気持ちになるのも自然なことです。
けれど、どんなお祝いも本当に大切なのは「形」ではなく「気持ち」であることを思い出してほしいです。
たとえイベントとしての準備ができなかったとしても、赤ちゃんの誕生を喜び、「生まれてきてくれてありがとう」という思いを持っていることこそが、一番の贈りものになります。
無理に特別なことをしなくても、
- 赤ちゃんが穏やかに過ごせるように抱っこしてあげたり
- 静かな時間の中でパパやママがそっと言葉をかけてあげたり
「やらなかった」ことを気に病むよりも、「わが家らしく祝えた」という満足感を持てることが何よりも大切です。
他の家庭と比べすぎず、自分たちができる範囲での優しいお祝いを選んでくださいね。
祖父母や親族からのプレッシャー対策
もし親族から「お七夜はやらないの?」と聞かれたときは、無理にごまかしたりせず、「今回は赤ちゃんとママの体調を優先しました」と素直に伝えることが大切です。
体調第一で過ごすことの大切さは、多くの方にとって納得しやすい理由になるでしょう。
そのうえで
「命名書だけ用意して、写真を送ろうと思ってるんです」
「後日、落ち着いたときに改めて小さく祝おうと思っています」
など、ちょっとした代替案や工夫を伝えると、相手も納得しやすいですよ。
また、「今はわが家らしい形で赤ちゃんを祝いたいと思っています」と前向きな気持ちを添えて伝えることで、理解を得やすくなることもあります。
相手も赤ちゃんを大切に思ってくれているからこその関心なので、気持ちよく共有できるよう工夫してみてくださいね。
お七夜をしないときの代わりのお祝いアイデア
家族だけで静かにお祝いする方法
お七夜を派手に行う代わりに、赤ちゃんの寝顔を見ながら
「ありがとう」
「生まれてきてくれて本当にうれしいよ」
とやさしく声をかけるだけでも、じゅうぶん温かなお祝いになります。
大切なのは、特別な演出ではなく、その瞬間の家族の気持ち。
日常の中で心から喜びを分かち合うことが、赤ちゃんにとっても大切な愛情の記憶になります。
例えば、ちょっと贅沢な夕食をテイクアウトしたり、出前で好きなお料理を頼んだりするのもいいですね。
普段よりも少し特別なメニューを囲んで、
「今日はこの子が無事に生まれてきてくれた記念日だね」
「おつかれさま、ママ」
と家族で声を掛け合う時間は、とても心あたたまるひとときになります。
また、お母さんの好きなスイーツやフルーツを準備して、赤ちゃんが寝ている間に少しリラックスできる時間をつくるのもおすすめです。
「今日は赤ちゃんと家族の記念日」として、小さくても特別感のある演出をすると、それだけで満たされた気持ちになれるものです。
さらには、写真や動画を撮って「お七夜らしい思い出」を形に残すのもいいですね。
命名書やお祝いのメッセージと一緒に赤ちゃんを撮影すれば、後から見返したときに「この日も大切に過ごしていたんだな」と思える、かけがえのない記録になりますよ。
命名書だけ用意するという選択
命名書は、赤ちゃんの名前を記録として残すだけでなく、家族にとって大切な思い出を形に残す手段にもなります。
手書きで丁寧に書いたものでも、パソコンでおしゃれに作ったものでも、心がこもっていればどちらでも素敵です。
最近では、ネット上で使える無料のテンプレートも充実しており、和風テイストのものから北欧風、シンプルモダンまで、さまざまなデザインが選べるようになっています。
命名書には、赤ちゃんの名前、生年月日、時には名付けの由来なども書き加えると、よりオリジナリティのあるものになります。
命名書を作ったら、赤ちゃんと一緒に撮った写真と並べてアルバムに残しておくと、将来見返したときにとてもいい記念になりますよ。
飾った写真を祖父母や親戚にLINEでシェアするだけでも、あたたかい交流のきっかけになります。
最近は、命名書と一緒に出生時の体重や身長、手形・足形を添えるセットも人気です。
そうした工夫を取り入れると、より一層記念に残る一枚になりますし、「お七夜はやらなかったけど、きちんと気持ちは込めて祝えた」と自信にもつながります。
後日に改めてお祝いするスタイルも
お七夜を当日にできなかったとしても、焦らずに後日改めてお祝いをするスタイルもおすすめです。
赤ちゃんとママの体調が落ち着いてからゆっくりと家族でお祝いできるほうが、気持ち的にも余裕があって楽しめるという声も多いんですよ。
たとえば生後1か月の「お宮参り」のタイミングで、神社でお参りをしたあとに家族で食事会を開いて、「お七夜を兼ねたお祝い」とするご家庭もあります。
また、100日祝いの「お食い初め」と組み合わせて写真撮影をするなど、自分たちのスケジュールに合った日を選んでお祝いすれば、無理なく楽しい記念日になります。
そういった柔軟なスタイルは、家族のストレスを減らしながらも、ちゃんと「お祝いした」という満足感を持つことができます。
形にとらわれすぎず、赤ちゃんのペースを大切にした穏やかなひとときを、ぜひ楽しんでくださいね。
まとめ|お七夜は「やらない選択」もOK!自分たちらしいお祝いを
お七夜は、必ずしも決まった形でやらなければならないものではありません。
家庭によって、できること、やりたいことは違って当たり前ですし、その違いを尊重できる時代になってきています。
たとえば、家族だけで静かに過ごしたり、赤ちゃんの寝顔に「ありがとう」と語りかけたりするだけでも、立派なお祝いです。
「お七夜」という名前のついたイベントでなくても、赤ちゃんの存在を喜ぶ気持ちは、どんな形であれ尊いものです。
- 「やらなかったけど、心の中ではしっかり祝っていた」
- 「記念の写真だけは残した」
- 「赤ちゃんの健康を祈る気持ちはずっとある」
- 「お祝いはできなかったけど、毎日を大切に過ごしている」
誰かの真似をするのではなく、「わが家の大切なかたち」で過ごすことが、家族の絆を深めてくれるはずです。
まわりと比べすぎず、「これが私たちのやり方」と胸を張れるような、無理のない過ごし方を見つけていけるといいですね。
そして、どんな形であっても、赤ちゃんを迎えたその時間が、あたたかい思い出として心に残ってくれたら何よりです。